GiverとTakerが気になる

世の中にはGiverとTakerとMatcherがいるらしい(組織心理学者のアダム・グラント氏の著書に書かれているようだ)。Giverは人に見返りを求めずに、他人のために与えることができる人。時に自己犠牲的な人もいる。Takerは自分の損得ばかり考える人。一見Giverのように振る舞い、恩を着せる人もいる。MatcherはGiverとTakerの両方をバランスよく使い分けるタイプ。ほとんどの人はMatcherに当てはまるという。

この概念を知ってすっきりした。Giverは心優しくて自己犠牲的な人もいる一方で、人に与えることを苦なくできるGiverもいる。私の母は確実にそのタイプだ。気配りができ、人一倍明るく、誰からも好かれるように振る舞うことができる。

一方で私は自他ともに認めるTakerだ。人から与えられることに幸せを覚えるタイプで、何かを与えてくれない人の言葉や存在は気にしなくていい、とこれまで本気で思っていた。だけど、この概念を聞いて、自分でも薄々感じていたことに気がついた。それは私は他人にGiveすることに自信がないということだ。料理を作ってあげるときにもうまくできるか不安になってしまうし、そもそも自発的に何かをすることに自信が持てていない。

 

今年の初めにエーリッヒ・フロムの「愛するということ」という本を読んだ。この本を読んで私が理解したことをめちゃくちゃ簡潔に言うと、愛するとは人に与えることだ、ということ。Takeだけでは、どんなに愛していたとしてもそれを伝えることはできていないのかもしれない。なぜなら、Takeは黙っていても受け取ることができるからだ。何かしてもらったことに対して「ありがとう」と言葉にしたとしても、本当の感謝の気持ちは伝わりにくい。(近年「あざとい」という言葉が流行っているが、「あざとさ」は本来わかりにくいTakeを最大限に表現する言動を指すような気がする。)半面、Giverは何かの具体的な行動でGiveを表すことになる。料理を作ったり、プレゼントを選んだり、少し早めに待ち合わせ場所で待っていてくれたり。Giveという行為はより分かりやすく印象に残りやすい。

 

勇気をもってGiveを行動で示して、Giveすることを当たり前にしたい、と思った年末でした。