ナナメの夕暮れが気になる

オードリー若林の本が好きで、彼の著書「社会人大学人見知り学部卒業見込」と「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」は既に読んでいるのだが、今週末は「ナナメの夕暮れ」を購入して読んでいる。

斜に構えて「世の中を楽しそうに生きている人」を冷笑していた自分が、時を経て自分が好きなことや没頭できることに気づき、人や世の中に対する考え方も変わっていっている、ということがオードリー若林自身の経験談からリアルに描かれている。共感できる部分もたくさんあり、私が感じていたもやもやを言葉で言い表して輪郭をつけてくれる感じがする。

彼は自分の内心と外の世界の両方の観察眼が鋭い。他人の動きを観察し、そこから「なぜこの人はこのような言動をするのか」と考えて理解するだけではなく、自分の内心にも目を向けて「自分はなぜ世の中に対してこう思うのか」についても言葉で表し可視化させている。この両方ができるのがすごい。今回の本は6年間の連載エッセイをまとめたものだが、自分の内外の出来事を両方の視点から向き合って考えることによる、6年間での自分の変化について描かれているのが面白かった。

特に印象に残ったのが、ネガティブな自分を変えようとして、まず好きなことをノートに書きだし、次に他人を肯定する文言を書きだして気づいたという下記の文章。

世界の見え方は、どんな偉業であれ、悪人であれ、思い込みに他ならない。肝心なのは”どう思い込むか”である。

好きなことがあるということは世界を肯定していることになる

「社会人大学人見知り学部」にも

何かをしているのに意味がないのではなくて、意味が無いからこそ、せっかく楽しいことをするのだ

と書いてあったが、世の中のおかしなこと(意味のない仕来りや、ステータス等)に対してそれを飲み込み耐えるのではなく、素直に痛烈に疑問を投げかけながらも、そんな世の中でも楽しいことを見つけて、自分なりの楽しみ方を見つけようとする姿勢が元気を与えてくれた。

今の私が彼のように内面や外界に対する意識を鮮やかに言語化するのは難しいけど、お手本にしながら、自分と世の中に向き合っていきたいと思う。