花束みたいな恋をしたが気になる

先日、一人で映画を観に行った。「花束みたいな恋をした」を観た。

観終わった時は「思ったより単調だったな」と思ったのだが、時間が経てば経つほど、この映画がじわじわとくる。

 

ストーリーは、小説や音楽などのサブカル系の趣味が合う大学生の男女が付き合って、同棲して、社会人になり仕事を始めて、価値観のずれが生じて別れる、という至って普通の話。場所は調布。時代設定は2015年から2020年。つまり私とほぼ同じ年の男女の話。

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最初はかなり淡々と見ていた。同棲したことがないので、同棲いいなあとか、すれ違い始めた時には、そこでそんなに怒るんだ、と心の中で冷笑したりしながら見てた(全然感情移入してない、というかできない笑)

勝手に流れる時間が戻ってくれることもなく、時間とともに変わった生活や感情が元通りになることもない。でも楽しかった思い出は楽しかったままにある。

そんなエモさに心が揺さぶられたのか、私、気づいたら、何に感動したのかわからないまま泣いていた。

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この映画には浮気が一切出てこない。裏切りやドロドロの要素が一切なく、ただただ2人のすれ違いだけが表現される。

その複雑さがなくて、少し素っ気なく思ってしまったのだけど、それがこの映画の良い部分でもある。時間や環境の移ろいによって生じる価値観のずれという一つのテーマに集中して考えさせられた。時間や環境の変化は人生の中でみんなが抱える変化で、それは人間関係に複雑に絡んでくる。そういう意味で、この映画を思えば思うほど、温かさもあり、複雑さもあり、普遍性もあり、エモさもあり、じわじわくる。

たぶん、観る人によってかなり見方が違ってくると思う。(実体験に近い人はもっと違う感想を持つだろうし、年齢によっても感想が違う)

 

あと、実際に数年前に起こったことがリアルに出てくるのがいい。SMAPの解散とか。

私てきには、きのこ帝国の「クロノスタシス」という曲が出てくるんだけど、最後に「きのこ帝国が解散した時、君はどう思っただろう」というセリフがあって、なんだがグッときた。時と場所と人はリンクして思い出の中にある。