見送りが気になる

この前、散歩がてら少し遠回りして、近所にポツポツにある個人経営のレストランを通って家に帰った。ちょうど、最近人気があるらしいベトナム料理のレストランの前を通りがかった時、30代くらいの男女のサラリーマン4人組が店から出てきた。静まり返った道に不釣り合いな笑い声が響いて、一瞬で静けさをかき消す。「あー平日の夜でも人が入るなんてさすが人気店だ」と思いながら見ていると、店の外まで店員が出てきて、「ありがとうございましたーお気をつけて!」と見送っていた。一行は「美味しかったねー」とキャッキャしながら、駅に向かっていった。そんな光景を見ながら、私は寒い夜風に吹かれながら、ひとり温かい気持ちになった。

誰かを見送る言葉は温かいし、後味をよくすると思った。私が毎朝のように行くカフェでも、コーヒーを渡すときには「ごゆっくりどうぞ」と声をかけてくれ、退店する時には、「いってらっしゃいませ!」と言ってくれる時もある。そのたった一言で、会社に向かう少しせかせかした気分が爽やかな気分に変わる。

レストランでも、食事の内容ももちろんだが、見送る時の店員さんの対応で印象は大きく変わると思う。後味を決める、最後にかける言葉は大事だ。