魚が気になる

料理を趣味にしてよかったことは学びがあること、とある人が言っていた。

先日私は初めて魚の三枚卸をした。野菜を切るにも手を切らないかとハラハラしてやっとの私だが、意外にも理科の解剖の時のような気持ちで楽しく魚を捌くことができた。魚の構造を説明してもらいながら、骨を切り落とす作業をしていく。ここに大きい骨があってこっちに内臓があるとか、外側は体を守るために固くなっているので、内側から切ったほうが切りやすい、など。生魚を触る経験すら乏しい私にとって、魚を切るという行為はまったく知らない世界に踏み出たような気分だった(母は魚が苦手で切り身でしか料理をしないので、尚更だ)。

鯵と鯛をさばいた。どちらも同じ切り方なのだが、魚の体の大きさはもちろん、皮の剝がしやすさなど難易度は異なる。固体によって脂ののり方も違う。生き物に対峙する感じがある。

たとえば、沖縄の魚は脂が少ないらしい。暖流で脂肪分を蓄える必要がないから、というのが理由だそうだ。なるほど、と思った。各地の環境によって魚の脂ののり方も変わるし、季節(産卵が近いか)によっても味が違う。

魚の三枚卸という、主婦が普通にやっているだろうことでも、私にとっては多くの学びがあった。1匹1匹に向き合って、命をいただくということの意味を少し知った気がする。